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「からまりしろ」の考え方に触れて:平田晃久さんの特別講演会レポート【スタッフ仁尾】
こんにちは、イマジンホームの仁尾です。
先日、母校で行われた建築家・平田晃久さんの特別講演会に参加してきました!平田さんはすべての作品に「からまりしろ」を貫き、はっきりと形作られる空間領域とは異なり、「ふわふわとした隙間の錯綜」、あらゆる物質の傍らともいえる領域の重なりを目指していると話していました。
講演では、練馬区立美術館で展示されている順番に沿って建築に込められた意図を紹介していただきました。それぞれの展示が建築の内側と外側、あるいは人と環境の関係性を浮き彫りにしています。
特に興味深かったのは、東京オリンピックに合わせて制作された「Global Bowl」の紹介です。この建築は102の部分が複雑に絡み合っており、まるで世界各国の旗が一つのボールに定着したかのようです。観光客や市民が入って、通り抜けたり腰を掛けることができたりと、一緒にいることで、国を超えた「絡み」が自然に空間が生まれています。また、「中と外の境界をほどきつつ結ぶ」構造によって、平田さんの「からまりしろ」の考えが明確に表現されています。
さらに、太田市美術館・図書館のプロジェクトでは、当初閑散としていた駅前エリアの活性化を目指し、何度もワークショップを開催して市民の声を反映しました。 ワークショップには市民の声を基に作られた模型が200を超えており、それらが合わさって今の太田市美術館・図書館ができています。彼らと「絡みまり」をつくりあげながら設計されたこの建築は、美術館や図書館の枠を超え、人々が自由に集い、響き合う「ひびき」の場となっています。 ここでも「からまりしろ」の考えが生きており、平田さんの建築が地域にポジティブな影響を与えたと感じました。
また、台湾大学100周年記念館や山形市民会館、新潟県にある小千谷図書館についても、平田さんの設計意図を伺うことができ、大変勉強になりました。生活をより豊かにしてくれるだけでなく、これから先の未来へのメッセージや今日までの歴史から読み解くメッセージ、風景や自然と絡まりつないでいく存在であることを全面的に実現した講演会でした。
滋賀県でも、守山市にある伊勢遺跡で平田さんの建築を見られるので、興味がある方はぜひ足を運んでみてください!
【画像引用】
・https://paviliontokyo.jp/pavilion-hirata/
・https://www.artmuseumlibraryota.jp/facilities/